【無料】メモリーノートの作り方|記憶障害・遂行機能障害のリハビリで使えるテンプレート作成アプリ「MemoraCue」

【無料】メモリーノートの作り方|記憶障害・遂行機能障害のリハビリで使えるテンプレート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)

 

「 メモリーノートを導入したいが、対象者の認知レベルに合ったものが見つからない… 」

「 配布されているテンプレートは、項目が多すぎるか少なすぎる。結局、毎回手作業で作り直している・・・ 」

「 文字が小さくて読めない方に合わせて、サイズを変えたい!」

 

認知リハビリテーションの現場で、こんな悩みを抱えたことはありませんか。

 

今回、高次脳機能障害(記憶障害・遂行機能障害)の方のためのメモリーノートを、無料・登録不要で作成できるWebアプリ「MemoraCue」(メモラキュー)をリリースしました。

 

この記事では、アプリの仕様を解説しながら、記憶障害の方・遂行機能障害の方それぞれへの段階的な導入手順と、実際の使い方を、初学者の方にも分かるよう丁寧に紹介します。
読み終わる頃には、すぐに最初の1枚を作れるようになっています。

 

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MemoraCue(メモラキュー)とは|名前に込めた設計思想

 

 

MemoraCueは、「Memora」(Memory=記憶、Memorandum=備忘録)と「Cue」(行動・想起を助ける手がかり)を組み合わせた名前です。

 

「記憶を外に出す」だけではなく、

記録する → 見返す → 行動する → 確認する

という、このアプリの本質を名前に込めています。

 

ブラウザで開くだけで使え、インストールも会員登録も不要です。
設定を変えるとプレビューがリアルタイムに変わり、そのままA4サイズのPDFとしてダウンロード・印刷できます。
Chrome・Edge・Safari・Firefoxの主要ブラウザに対応し、スマホやタブレットからも操作できます。
注:
Safariにも対応させましたが、PDF化の際に半角の数字や記号の後などに空欄が入るようでしたので、今回のアプリを利用する場合には、あまり推奨しません

 

アプリ全体画面:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
アプリ全体画面

 

 

なぜ「1枚のテンプレート」では足りないのか

 

メモリーノートは、認知リハビリテーションで広く用いられる外的記憶補助具です。
しかし、配布テンプレートをそのまま使おうとして、こんな壁にぶつかった経験はないでしょうか。

 

・項目は良いが、文字が小さくてその方には読めない
・記憶障害には合うが、遂行機能障害の手順分解には物足りない
・服薬チェックは不要なのに消せない
・時間刻みで書きたい方と、午前・午後で分けたい方がいる

 

対象者の認知特性は一人ひとり違うのに、テンプレートは1種類しかない。
このギャップが、「導入したのに使われない」という失敗の大きな原因です。
MemoraCueは、この問題を「カスタマイズ」で解決します。

 

 

MemoraCueでできること|対象者に合わせて1枚を「設計」する

 

 

4つのレイアウトで「見通し」の単位を選べる

 

 

4つのレイアウトで「見通し」の単位を選べる

 

 

・1日詳細:
今日の予定・服薬・To Do・メモ・行動の分解などを1枚に集約。
日常生活の記憶の補助に最も使いやすい「全体編」です。

・1週間:
曜日ごとの大まかな予定や記録を1枚で俯瞰できます。

・1か月:
1日〜31日の月間の見通し。通院日や定期的な予定の確認に。

・月間カレンダー:
年月を指定して、曜日の並んだカレンダー形式で出力できます。

 

選択ボタン:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
選択ボタン

 

1日単位の詳細なメモリーノートに加えて、週・月の大まかなものを組み合わせれば、対象者の方に合わせたオリジナルのメモリーノートセットを作ることができます。

 

 

項目のON/OFFで「必要な情報だけ」を残す

 

 

「今日の予定」
「服薬チェック」
「To Do・期限・優先度」
「メモ・記録」
「復習・振り返り」
「目標・明日の一歩」
「天気・体調」
「Goal Plan Do Check」
などの各項目を、チェックを入れるだけで構成できます。

 

情報量を増やすこと自体が目的ではありません。
本人が実際に「見て・書いて・使える」最小限の情報だけを残すことが、使い続けられるメモリーノートの条件です。
不要な項目は、チェックを外すだけで消えます。

 

項目ON/OFFの設定画面:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
項目ON/OFFの設定画面

 

 

文字サイズ100〜200%と、A4への自動調整

 

 

「文字が小さくて読めない」は、メモリーノートが使われなくなる最も多い理由のひとつです。
MemoraCueでは文字サイズを100%〜200%でスライダー調整でき、大きくした分は予定欄や記入欄の高さを自動で縮め、A4からはみ出さないよう調整します。

 

対象者の方の視力・読字能力に合わせた「ちょうどいい大きさ」を、試行錯誤なしに探せます。

 

【文字サイズ:170%】

文字サイズ「170%」:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
文字サイズ「170%」

 

【文字サイズ:130%】

文字サイズ「130%」:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
文字サイズ「130%」

 

 

時間刻みと、行動の分解レベル

 

 

予定欄は

「60分刻み」
「2時間刻み」
「午前・午後で分ける」
「フリー(時刻なし)」

の4パターンから選べます。
記憶障害の方の時間単位の詳細な備忘録にも、遂行機能障害の方の大まかな流れの把握にも対応できます。

 

さらに「Goal Plan Do Check/行動の分解」欄では、生活課題を3・5・7ステップのいずれかに分解して外在化できます。
障害が重いから多め、ではなく、本人が自力で進められる最小限のステップ数を目安に、どの段階でつまずくかを把握するための設定です。

 

「行動の分解レベルの設定」と「Goal Plan Do Check」(記憶補助を重視)の表示:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
「行動の分解レベルの設定」と「Goal Plan Do Check」(記憶補助を重視)の表示

 

 

記憶障害の方への導入例|段階的な4ステップ

 

 

メモリーノートは「渡せば使える」ものではありません。
使い方を練習として組み立て、徐々に自律的な使用につなげます。
初学者の方にも実践しやすい4段階を紹介します。

 

 

① 参照する練習

 

まずは「どこに何が書いてあるか」を探す練習です。
支援者が質問し、対象者の方に該当箇所を指し示してもらいます。

 

「 〜月〜日の予定はどこを見ればいいですか?」(日付の参照)

「 今日の午前の予定はどこに書いてありますか?」(今日の予定の参照)

 

この段階では、MemoraCueで項目を絞ったシンプルな構成(例:今日の予定とメモだけ)にすると、検索負荷が下がり導入しやすくなります。

 

 

② 構成する練習

 

指示内容を書いた付箋を、該当欄に貼り付ける練習です。

 

「 今日は〜月〜日です。午前の予定は〜と伝えられました。どこに記入しますか?」

「 今日中に〜をしてくださいと伝えられました。どこに書きますか?」

 

「書く」前に「どこに入れるか」を判断する力を育てます。
項目を増減できるため、理解に合わせて段階的に欄を増やせます。

 

 

③ 記入する練習

 

支援者が口頭で伝え、実際に書き込む練習です。

 

「 今日(〜月〜日)の予定を伝えます。」(予定欄への記入を促す)

「 〜は大切なので覚えておいてください。」(メモ欄への記入を促す)

 

この段階から「受け取ったら、その場で書く」という動作を繰り返し、記録の手続き化を目指します。

 

 

④ 実践する練習

 

実際の生活で使いながら、支援者が助言を行い習慣化を図ります。

 

「 実施したらその場でチェック印をつけるようにしましょう。」

「 指示されたら、その場で記入するようにしましょう。」

「 あとで一緒に見返す場面を作りましょう。」

 

MemoraCueの「復習・振り返り」欄は、この見返しの場面を支えます。
想起練習と時間を空けた反復は長期記憶への定着を助けることが研究でも示されており、「記録→参照→振り返り」の循環を生活に組み込むことが定着の鍵になります。

 

 

遂行機能障害の方への導入例|Goal Plan Do Check

 

 

遂行機能障害の方には、「止まる→目標を見る→手順を確認→実行→チェック」の流れを外在化します。

 

 

課題を「手順」に分解する

 

MemoraCueの「Goal Plan Do Check/行動の分解」欄は、生活課題を3・5・7ステップに分解して記入できる課題プリントです。
左のチェック欄(課題)に“支援者が"現在の課題箇所をチェックし、1日を終えたら右の欄(達成)で達成できたかを確認します。

 

対象者の方は支援者からのフィードバックを受け、自分がどの段階でつまずいているのか・やりにくいのかを自覚するために使います。
病院・施設・訪問リハビリなどの現場での訓練教材や、自主練習用の課題プリントとして活用できます。

 

 

自律的な使用につなげる支援の工夫

 

・最初は支援者が手順を一緒に書き、徐々に本人が書く量を増やす

・つまずいた段階を記録し、ステップ数や表現を見直す

・「困ったら相談」「次の一歩」など、本人が実行できる行動で手順を締める

・達成できた段階から支援を減らし、自己モニタリングへ移行する

 

「Goal Management Training(GMT)」やメタ認知的方略訓練のように、計画・問題解決・自己モニタリングを生活課題へつなげる枠組みは、研究でも有効性が示されています。

 

 

支援者自身の「学びの場」として|臨床キュー

 

 

MemoraCueは「臨床キュー」という学習欄があります。
忙しい臨床の中でも「なぜこの欄を置くのか」を思い出せるよう、参考となるフリー医学論文(PubMed)へのリンクと要点を、短く表示しています。
対象者の方に学習してもらうだけでなく、支援者自身が基本とエビデンスに立ち戻るキュー(手がかり)としての位置づけです。

 

 

記憶障害・メモリーノートに関する論文

 

・記憶リハビリテーション
外的記憶補助具・補償的アプローチが、日常生活上の記憶を支える実践的な選択肢であることを示した研究です。
メモリーノート導入の根拠として参照できます。
PubMedで読む ↗

 

・前向性記憶(予定や「後で行うこと」の記憶)
「後でやろうと思っていたことを忘れる」という前向性記憶への介入をレビュー。
To Doや予定欄のような外的手がかりを、生活機能へつなげる視点が得られます。
PubMedで読む ↗

 

・想起練習・復習の間隔
想起練習と時間を空けた反復(分散学習)は長期保持を助けます。
復習間隔は目標期間や難易度に応じて調整する、という実践の指針になります。
PubMedで読む ↗

 

 

遂行機能障害に関する論文

 

・遂行機能(計画・問題解決・自己モニタリング)
Goal Management Training(GMT)やメタ認知的方略訓練は、計画・問題解決・自己モニタリングを生活課題へつなげる枠組みです。
「Goal Plan Do Check/行動の分解」欄の理論的背景として参照できます。
PubMedで読む ↗

 

臨床キューの表示:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
臨床キューの表示

 

 

なぜこのアプリを作ったのか|開発者の思い

 

 

メモリーノートのプリントを、バリエーションを持って作成できるテンプレートを作りたい と、ずっと考えていました。

 

2019年にこのサイトでメモリーノートを公開

記事ページ:
メモリーノート・メモ帳素材 – リハプリント

しましたが、メモリーノートの作成は対象者の方の認知レベルに応じて工夫する必要があります。
1つのプリントを公開するだけでは、臨床現場で活用されにくいのではないかと、思い悩んでいました。

 

また、支援に慣れてくると、支援の仕方が手続き記憶化されます。
技能は習熟し、あまり考えなくても支援ができるよう(な錯覚を感じるよう)になります。
しかしその一方で、支援者自身も

「 なぜ、この支援をする必要があるのか?」

「 医学研究論文的にはどうなのか?」

といった知識については、思い出しづらくなっていく自分に気が付かされました。

 

そのため、メモリーノートを利用される対象者の方だけでなく、このアプリでメモリーノートを作成し、使う中で支援者自身も記憶障害や遂行機能障害の支援についての基本に立ち戻れ、エビデンスについても忘れないようにできる、唯一無二のアプリを作りたいと思っていました。
当時は作り方が分かりませんでしたが、あれから7年の時を経て、ようやく小規模なアプリを作成できるようになり、今回の開発に取り掛かることができました。

 

今回作成したアプリが、対象者の方の認知特性に応じてシームレスにメモリーノートを微調整したい、バリエーションが欲しいと考えている支援者の方にとって、カスタマイズしたプリントが作れるようになることで、生活支援の幅が広がるきっかけになることがありましたら幸いです。

 

また、業務時間外の課題作りの時短や効率化ができることで、本来充実させたかったことに時間をかけたり、プライベートの時間が増え、自分らしく生きるためのきっかけになることがありましたら幸いです。

 

 

使い方|3ステップで最初の1枚を作る

 

 

① レイアウトと項目を選ぶ

 

アプリを開き、左側の設定でレイアウト(まずは「1日詳細」がおすすめ)と、対象者の方に必要な項目だけをONにします。

 

 

② 文字サイズと内容を調整する

 

 

文字サイズスライダーで、対象者の方が読みやすい大きさに合わせます。
A4からはみ出さないよう自動で調整されるため、はみ出しの心配はありません。

 

記憶障害が中心なら「支援設計:記憶補助を重視」、遂行機能障害が中心なら「遂行支援を重視」を選ぶと、「Goal Plan Do Check」の手順テンプレートが目的に合わせて変わります。
迷ったら、まず「バランス:記憶+遂行」から始めてください。

 

 

③ PDFをダウンロードする

 

「PDFを開く」ボタンを押すと、設定どおりのメモリーノートが別タブでPDFとして開きます。
そのままダウンロード・印刷して、すぐに使えます。
設定は自動で保存されるため、次回開いたときも続きから調整できます。

 

【PDFをダウンロード】

PDF出力ボタン:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
PDF出力ボタン

 

【PDFの出力例】

出力されたPDF:メモリーノート作成アプリ「MemoraCue」(メモラキュー)
出力されたPDF

 

 

患者さんのためだけではない、もうひとつの使い方

 

 

MemoraCueでプリントを作っていると、途中で気が付くことがあります。

 

「 もしかして、患者さんに使ってもらうだけではなく、自分が使ったら良いかも!」

 

今日の予定・To Do・目標・振り返りを1枚に外在化する構造は、記憶障害や遂行機能障害の代償手段であると同時に、多忙なリハビリ専門家自身のタイムマネジメントにもそのまま使えます。
日々の業務のスケジュール・やることのチェック・目標設定・振り返りを、同じ1枚で回せる設計です。
担当患者さんのプリントを作るついでに、自分用の1枚も出力してみてください。

 

 

まとめ|「使われるメモリーノート」を、誰でも作れるように

 

 

メモリーノートの支援で大切なのは、立派なテンプレートを作ることではなく、対象者の方が実際に「見て・書いて・使い続けられる」1枚を、その人に合わせて調整することです。

 

MemoraCueは、レイアウト・項目・文字サイズ・情報量・支援量を、対象者の認知特性に合わせてカスタマイズし、無料でPDFダウンロードできるメモリーノート作成アプリです。
記憶障害の方への段階的な導入にも、遂行機能障害の方への課題プリントとしても、そして支援者自身の学びと業務管理にも使えます。

 

まずは1枚、担当されている方の顔を思い浮かべながら作ってみてください。

 

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by PT・OT・STニュース.blog