【カルテ・評価記録用】正中神経麻痺版のMMT評価表：徒手筋力テスト – リハプリント
【カルテ・評価記録用】正中神経麻痺版の徒手筋力テスト（MMT）評価用紙
【PT・OT・ST】リハビリ専門家のための教材・素材集
【更新状況】 2024年9月21日（土）
ページを公開しました。
カルテ・評価記録用などの正中神経麻痺（円回内筋症候群・前骨間神経麻痺・手根管症候群）の評価で活用できる徒手筋力テスト（Manual Muscle Test：MMT）の評価表・検査用紙をPDFで公開しておきました。
このページを初回公開時点（2024年9月21日時点）で、インターネット上でMMTの評価表を探してみると
・正中神経麻痺に関連する筋肉の経時的な変化を把握できるようなレイアウトの評価表がない？
・そもそも、正中神経麻痺に特化させたのMMTの記録表がない？
と感じましたので、自分で作ることにしました。
このページの正中神経麻痺版の評価表では、作業療法士（OT）・理学療法士（PT）をはじめとしたハンドセラピー・手外科領域に関わるリハビリ専門職の方が、正中神経に関連する主要な筋肉の筋力低下の経時的な変化を把握しやすいように
・正中神経麻痺の徴候
：猿手・祈祷手
– 母指・示指・中指の屈曲障害。対立運動障害
：パーフェクトOテスト
- 母指IP関節・示指DIP関節の屈曲障害（涙のしずくサイン – 前骨間神経麻痺）・きれいな丸が作れない（手根管症候群）
：感覚障害（しびれ）
- 母指・示指・中指・環指橈側（手根管症候群）・手根管症候群領域の手掌面（円回内筋症候群）
：母指球筋の萎縮
- 短母指外転筋・短母指屈筋・母指対立筋（正中神経支配）・注：母指内転筋は尺骨神経支配
：ティネル兆候
- 特定の部位を叩くと正中神経領域（母指・示指・中指・環指橈側）にしびれ・痛みがひびく。手根管（手根管症候群）・円回内筋（円回内筋症候群）など
：ファレンテスト
- 手関節掌屈位で1分以内に、しびれ・痛みが増強
・円回内筋症候群（高位麻痺）
：前腕回内
- 主動作筋：円回内筋（正中神経：C6〜C7） – 高位麻痺・方形回内筋（正中神経：C7〜C8） – 低位麻痺（前骨間神経麻痺）
：手関節掌屈
- 主動作筋：橈側手根屈筋（正中神経：C6〜C7）・尺側手根屈筋（尺骨神経：C7〜T1）・長掌筋（正中神経：C7〜C8）
：手指PIP関節屈曲
- 主動作筋：浅指屈筋（正中神経：C8〜T1）・Ⅱ（示指）〜Ⅴ（小指）まであり
：母指IP関節屈曲・主動作筋：長母指屈筋（正中神経：C8〜T1）
＊ 手根管症候群の項目も併せて評価
・前骨間筋神経麻痺（低位麻痺）
：前腕回内
- 主動作筋：円回内筋（正中神経：C6〜C7） – 高位麻痺・方形回内筋（正中神経：C7〜C8） – 低位麻痺（前骨間神経麻痺）
：手指DIP関節屈曲
- 主動作筋：深指屈筋（正中神経：C8〜T1）・前骨間神経はⅡ（示指）〜Ⅲ（中指）を支配
：母指IP関節屈曲
- 主動作筋：長母指屈筋（正中神経：C8〜T1）
・手根管症候群（低位麻痺）
:手指MP関節屈曲
- 主動作筋：虫様筋（正中神経：C8〜T1）・Ⅱ（示指：第1虫様筋）〜Ⅲ（中指：第2虫様筋）を支配
：母指MP関節屈曲
- 主動作筋：短母指屈筋（浅頭：正中神経：C8〜T1）・（深頭：尺骨神経：C8〜T1）
：母指外転（CM関節掌側外転）
- 主動作筋：短母指外転筋（正中神経：C8〜T1）
に対応させて
・12ヶ月分（12回分）
の記録ができるようにしておきました。
また、評価表には
・主動作筋肉
・神経支配（末梢神経レベル・髄節レベル）
＊ 神経支配は諸説ありますので参考程度にご活用ください
＊「通常版」ではカスタマイズ用に2つの空欄もあります
＊「所見記載用の手の絵付き版」もあります
の情報も（小さいですが・・・）掲載しておきましたので、日々の臨床業務の際や、知識を忘れないようにするために適宜確認する資料などとしてお役立てください。
このページのような評価表は
・病院の外来・デイサービス（通所介護）・通所リハビリ・訪問リハビリ（訪問看護）
などで利用者・対象者の方と長期的な関わりを持たれる機会の多い作業療法士（OT）・理学療法士（PT）の方が、長期的な変化を捉えたり、利用者の方にフィードバックする際の一資料として、何かと重宝するのではないかと思います。
また、急性期に経時的な変化があるのか？捉える際に参考になるのではないかと思います。
正中神経麻痺領域の障害の方の依頼があった際に、慌てて、正中神経領域の母指の運動を調べ直して白紙に手書きの評価表を（なぐり書きで…）自作した経験がありますが、そうすると短時間で一気に頭をフル回転するので疲れますよね・・・
正中神経麻痺版MMT評価表の作成を思い立って作り始めたものの、それなりの形のものができるのか？と不安を抱えながら4時間ほど右往左往しながらの作業でしたが、とりあえずの成果物が一般公開できる段階まで作れましたのでホッとしています。
今回の正中神経版のMMT評価表のPDFが、ハンドセラピー領域に関わるリハビリ専門家の方の何かしらのお役に立つことがありましたら幸いです。
【正中神経麻痺 – 通常版】MMT評価表
【通常：正中神経麻痺版】徒手筋力テスト（MMT）用の評価表（PDF）をダウンロード
：【カルテ・評価記録用】徒手筋力テスト（MMT）用の評価表：正中神経麻痺 通常版 | 無料ダウンロード
【正中神経麻痺 – 所見記載用の手の絵付き版】MMT評価表
【所見記載用の手の絵付き – 正中神経麻痺版】徒手筋力テスト（MMT）用の評価表（PDF）をダウンロード
：【カルテ・評価記録用】徒手筋力テスト（MMT）用の評価表：正中神経麻痺 所見記載用の手の絵付き版 | 無料ダウンロード
【参考情報】正中神経麻痺版の徒手筋力テスト（MMT）
– 神経損傷（障害）の運動機能評価表の計算について
正中神経麻痺版の徒手筋力テスト（MMT）に関連する情報を調べてみると日本手外科学会から
・正中・尺骨・榛骨神経損傷（障害）の機能評価表
という評価方法を公開してくださっているようでした。
計算方法は簡単で、該当神経の評価対象筋のMMTの結果を計算式に入れるだけです。
【正中神経の評価対象筋】
円囲内筋 (PT)・中指または環指浅指屈筋 (FDS)・示指深指屈筋 (FDP)
長母指屈筋 (FPL)・短母指外転筋 (APB)・権側手根屈筋 (FCR)
【正中神経の神経運動機能度の計算方法】
計算結果は以下の5段階の運動機能度に当てはめるようです。
– 運動機能度 –
MO：0%
M1：39%以下
M2：40%-59%
M3：60%-79%
M4：80%以上
経時的に上記の機能度を比較することで回復度を判定します。
注意点：
損傷（障害）神経の運動機能の回復の状況を評価する際には、
・正中神経の評価対象筋の中から、損傷（障害）部位より逮位の運動枝の支配筋のみで評価
を実施するようです。
【計算例①：正中神経の神経運動機能度 – 肘関節レベル（円回内筋症候群）】
MMTの結果：
円回内筋：5・中指または環指浅指屈筋：4・示指深指屈筋：4
長母指屈筋：4・短母指外転筋：2・権側手根屈筋：5
計算結果：
正中神経の神経運動機能度 = 80%
正中神経の運動機能度 = M4
【計算例②：正中神経の神経運動機能度 – 手関節レベル（手根管症候群）】
MMTの結果：
短母指外転筋：2
計算結果：
正中神経の神経運動機能度 = 40%
正中神経の運動機能度 = M2
以上、正中神経麻痺版のMMTの評価用紙や参考情報です。
https://ptotstnews-blog.com/rehaprint/
口部・摂食嚥下版のMMT評価表
：【カルテ・評価記録用】口部・摂食嚥下版のMMT評価表：徒手筋力テストのダウンロードページへ
尺骨神経麻痺版のMMT評価表（肘部管症候群・ギヨン管症候群に対応）
：【カルテ・評価記録用】尺骨神経麻痺版のMMT評価表：徒手筋力テストのダウンロードページへ
橈骨神経麻痺版のMMT評価表（高位麻痺・低位麻痺：後骨間神経麻痺に対応）
：【カルテ・評価記録用】橈骨神経麻痺版のMMT評価表：徒手筋力テストのダウンロードページへ
手指の関節可動域の測定（ハンドセラピー・手の評価向け）
：【カルテ・評価記録用】手指用の関節可動域（ROM）評価用紙（ハンドセラピー・手の評価向け）のダウンロードページへ
所見を記録できる人体図（ハンドセラピー・手の評価向け）
：【カルテ・評価記録用】人体図（ハンドセラピー・手の評価向け）のダウンロードページへ