学術誌「作業療法」第38巻第4号がJ-STAGEで無料公開開始:2019年8月15日
学術誌「作業療法」第38巻第4号がJ-STAGEで無料公開開始:2019年8月15日
「 学術誌 作業療法 」の「 2019年第38巻第4号 」がJ-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)で2019年8月15日に公開されているようでした。
ページ上部のメニュー内の「 資料を探す
」 → 「 すべてのジャーナルから探す
」 → キーワード:作業療法 で検索すると見つけやすいのではないかと思います。
早速、投稿論文のラインナップを確認してみました。
・特別支援学校の専門職への相談傾向
・放課後児童員へのコンサルテーション
・自閉症スペクトラム障害児への応用行動分析学的なアプローチ
・アスペルガー症候群事例の悪質ないたずら行為への支援
・人間作業モデルと日本の作業療法
・高次脳機能障害者の家族支援
・統合失調症者への生活行為向上マネジメントを活用した支援
・慢性期脳卒中後の上肢運動障害に対するTransfer packageを中心とした支援
・フォーカルジストニア(局所性ジストニア – フォーカルハンドジストニア)の方へのアプローチ報告
などと、今回も幅広い分野の投稿があるようでした。発達支援領域から精神科領域・身体障害領域までと、どの領域で臨床をされている方にとっても興味深い内容の論文が1つは見つかるのではないかと思います。
個人的に興味深い論文として
論文名
:実践報告
フォーカルジストニアの軟部組織に対するアプローチの実践キーワード
:筋緊張, 音楽, 手, 筋電図, 運動障害論文情報
:作業療法 2019年38巻4号 p.505-510
記事の概要・論文抄録ページへ(リンク先ではPDF全文の無料ダウンロードもできます)
https://doi.org/10.32178/jotr.38.4_505
* 2019年8月15日利用時点の情報
という音楽家のフォーカルハンドジストニアへの支援の論文があります。
プロの音楽家が職業生命を絶たれるリスクのある症状として恐れられるフォーカルジストニアですが、テレビ番組などで、脳の手術をして治す方法が紹介されているのを見たことのある方もいるのではないかと思います。
このサイトの前身の「 リハビリ関連書籍のレビュー.blog 」で音楽家の障害などに関する本
・ 6. どうして弾けなくなるの? 音楽家のジストニアの正しい知識のために
フォーカルジストニアに関する基礎的なメカニズムや、治療方法などについて学びたい方向けの本です。
フォーカルハンドジストニアの知見やリハビリ、ピアニストの演奏を脳科学や科学的な視点で学びたい方向けです。
を書評していたこともあり、今回のフォーカルジストニアの治療に関する論文を興味深く拝読しました。
勉強になったこととして
・筋緊張の評価指標
FPSテスト(Fast Passive Stretch test)
:痙性を生体力学的に評価する方法
積分筋電図(iEMG:integral electro-myogram)により解析する
・身体の定期メンテナンスにより症状が軽減される可能性
:ストレッチ・マッサージ・モビライゼーション・筋膜リリースなど
などが挙げられます。
筋緊張の評価指標としては、臨床現場では主観的評価方法のModified Ashworth Scale(MAS)が主流となっているのではないかと思いますが、研究や効果判定などで客観的かつ定量的に評価したい場合にFPSテストという手法があることを知り参考になりました。
また、フォーカルジストニアの治療というと最終的に脳の手術をするイメージがありましたが、療法士が関われる可能性のある支援として軟部組織への徒手療法的な支援も有益な可能性があることを知りました。
ただ、今回は1事例の報告でしたので
・他の方にも効果があるのか?(統計)
・どういったフォーカルジストニアのタイプに有効なのか?
なども今後の実践を通して解明されてくることを期待したいと思います。
長期的には、非侵襲的な方法でフォーカルジストニアで悩む音楽家の方々への支援方法が確立される日を楽しみにしています。
参考までに、以下にJ-STAGEで公開開始後5回目(2019年7月分)の人気論文ランキングを掲載しておきます。
「 2019年第38巻第4号 」の「 学術誌『作業療法』37巻の表彰論文
」では、論文著者の写真付きで表彰論文が掲載されていましたので、関心のある方はチェックしてみてください。
J-STAGE – 作業療法(1位〜5位) 2019年7月ランキング
「 作業療法 」は、一般社団法人 日本作業療法士協会により発行していただいている雑誌です。 2019年2月15日から、「 2019年38巻1号 」がJ-STAGEで無料公開開始となっています。
「 作業療法 」の論文のテーマなどに関心のある方は、雑誌のバックナンバーの確認や一般社団法人 日本作業療法士協会のホームページなどもチェックしてみてください。ホームページでは作業療法関連のコンテンツが充実されているようです。医療・福祉などに関心のある一般の方のみならず、作業療法士の学生さん、臨床家の方々にとっても参考になるのではないかと思います。
2018年には新たな作業療法の定義が定時社員総会にて承認されています。医療・保健・福祉・教育・職業などの多領域で、その人にとって目的や価値を持つ生活行為(作業)を介して「 人々の健康と幸福を促進 」することに寄与する作業療法士の今後の活動が期待されます。
今回のランキングは6月に比べ変動があるようです。
今月のキーワード集(トレンド把握目的などにお役立てください)
:質的研究, 脳卒中, 上肢, 片麻痺
:自閉スペクトラム症/障害, (ファンタジー), 生活障害, 作業, 小児
:脳卒中, 評価, 箸操作, 上肢機能, STEF
:訪問作業療法, 信念対立解明アプローチ, 作業機能障害, (OBP 2.0), 脳卒中
:前頭葉症状, クリニカルリーズニング, 高次脳機能障害
第1位 ↗︎ 先月3位
論文名
:研究論文 脳卒中片麻痺者が生活のなかで麻痺手の使用・不使用にいたる過程キーワード
:質的研究, 脳卒中, 上肢, 片麻痺論文情報
:作業療法 2019年38巻1号p.45-53
記事の概要・論文抄録ページへ(リンク先ではPDF全文の無料ダウンロードもできます)
https://doi.org/10.32178/jotr.38.1_45
* 2019年8月15日利用時点の情報
第2位 New♪
論文名
:実践報告
ファンタジー没入によって生活障害を呈する広汎性発達障害男児への支援キーワード
:自閉スペクトラム症/障害, (ファンタジー), 生活障害, 作業, 小児論文情報
:作業療法 2019年38巻1号 p.72-77
記事の概要・論文抄録ページへ(リンク先ではPDF全文の無料ダウンロードもできます)
https://doi.org/10.32178/jotr.38.1_72
* 2019年8月15日利用時点の情報
第3位 ↘︎ 先月1位
論文名
:研究論文
急性期脳卒中患者における上肢機能評価を用いた麻痺した利き手で箸操作が自立できる予測因子の検討キーワード
:脳卒中, 評価, 箸操作, 上肢機能, STEF論文情報
:作業療法 2019年38巻3号 p.277-284
記事の概要・論文抄録ページへ(リンク先ではPDF全文の無料ダウンロードもできます)
https://doi.org/10.32178/jotr.38.3_277
* 2019年8月15日利用時点の情報
第4位 ↗︎ 先月5位
論文名
:実践報告
多彩な高次脳機能障害を呈した事例に対する介入
─生物医学的側面,現象学的側面からの考察─キーワード
:前頭葉症状, クリニカルリーズニング, 高次脳機能障害論文情報
:作業療法 2019年38巻3号 p.335-343
記事の概要・論文抄録ページへ(リンク先ではPDF全文の無料ダウンロードもできます)
https://doi.org/10.32178/jotr.38.3_335
* 2019年8月15日利用時点の情報
第5位 ↘︎ 先月2位
論文名
:実践報告
訪問リハビリテーションにおける「作業に根ざした実践2.0(OBP 2.0)」の臨床有用性についてキーワード
:訪問作業療法, 信念対立解明アプローチ, 作業機能障害, (OBP 2.0), 脳卒中論文情報
:作業療法 2019年38巻3号 p.358-364
記事の概要・論文抄録ページへ(リンク先ではPDF全文の無料ダウンロードもできます)
https://doi.org/10.32178/jotr.38.3_358
* 2019年8月15日利用時点の情報
2019年7月分のランキングで掲載させていただいている雑誌
・学術誌「作業療法」
・心理学研究
・リハビリテーション医学
・脳科学とリハビリテーション
・日本内科学会雑誌
・日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
・ヘルスプロモーション理学療法研究
現在のリハビリテーション領域・医学領域などのトレンド把握などにお役立てください。
リハプリント – リハビリ用教材・素材集
臨床で使える訓練素材等を公開中です。
今後も少しずつ追加予定です。