【子供向け】ワーキングメモリトレーニング課題 – リハプリント療育

2024年4月27日

リハプリント療育 - 発達支援のための知育学習教材・素材集

 

【子供向け】ワーキングメモリ課題
【PT・OT・ST】発達支援のための知育学習教材・素材集 | rehaprint-kids

 

 

【更新状況】 2024年4月27日(土)

子供向けの仮名拾い(かなひろい)課題を公開しました。

4月20日(土)

子供向けのメンタルローテーション課題を公開しました。

4月15日(月)

ページを公開しました。

 

発達支援の際に使えそうなワーキングメモリ課題に関するプリントやワーキングメモリ課題の考え方、遊びの情報などを公開していきます。
ワーキングメモリ(Working Memory:作業記憶・作動記憶)は、

・脳のメモ帳

として、「見る」「聞く」「記憶する」「考える」「書く」「話す」をはじめとした知的作業の際に働くと考えられており、複数の作業を同時並行的に行う場合にも重要な役割を担います。

 

ワーキングメモリにまつわる各種機能に関しては諸説あるようですが、トレーニング用(鍛える用)のプリント課題作成にあたっては

 

・中央実行系(コンピュータのCPU的な役割:注意の配分/モダリティ変換など)

– バッファ1(記憶装置)- 視空間スケッチパッド
(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)

– バッファ2(記憶装置)- エピソードバッファ
(動画的なメモ:音声・視空間などの複数のモダリティを時系列に沿って記憶など)

– バッファ3(記憶装置)- 音韻ループ
(音のメモ:音声言語的な短期記憶など)
* バッファ1〜3は、コンピュータのメモリの役割

 

の仮説を基にしています。

 

一般的に、ワーキングメモリをトレーニングする(鍛える)大まかな方法論としては、

 

①ストラテジートレーニング
:方略をトレーニングする。
(例:いくつかの単語を覚える際に、視覚イメージやストーリーなどを活用する)

②コアトレーニング
:ワーキングメモリの機能(容量)自体を高めることを目的とする。
(例:数唱などのワーキングメモリ課題を行う)

 

に大別されるようです。
このページでは、「②コアトレーニング」として活用できそうな課題、遊びなどをまとめておきます。

 

【対象例】
・小学生以上(平仮名・片仮名・数字が読めるお子さん)
* 遊びの場合には言葉が話せる未就学児も対象

 

【実施例の説明】
①各プリントの課題や遊びなどを、特定のストラテジーは教えない状況で、繰り返し実施する。

・メンタルローテーション課題(心的回転課題)・シークワーズ課題(単語・文字・言葉・数字探し)に関しては、ターゲット数(メンタルローテーション課題・シークワーズ課題の場合)が少ない課題から実施し、問題がなければターゲット数を増やしてみてください。

 

ワーキングメモリトレーニングの効果の有無に関して、まだまだこれからの領域(*)ではないかと思います。
臨床家や研究者の皆さんが臨床でワーキングメモリトレーニングを活用していく中で得られた知見を基に、さらなる研究をされる中で、より効果的な支援方法が確立されることを期待しています。

(*)参考
展望論文:ワーキングメモリトレーニングと流動性知能 ―展開と制約―
心理学研究 2019年

 

【ワーキングメモリと子供の統語能力】

ワーキングメモリトレーニング関連の論文を読んでいると、2023年に公開(Journal of Experimental Child Psychology 2023年3月号に掲載)されたこのような論文を見つけました

 

Working memory training improves children’s syntactic ability but not vice versa: A randomized control trial | PubMed
(ワーキングメモリトレーニングは子供の統語能力を向上させますが、その逆はありません:ランダム化比較試験)

出典:
J Exp Child Psychol. 2023 Mar;227:105593.

 

要点としては、

✔︎ 非言語性(視覚性)のワーキングメモリトレーニングを実施すると子供の統語能力も改善

したとのことでした。
ただし、統語能力(構文・文法の能力)をトレーニングしてもワーキングメモリは改善(転移)されなかったようです。

確かに、ワーキングメモリが上手く働くようになると、基本的な言語能力のある子供であれば、統語能力が向上しそうな気はしますが、興味深い結果ですね。
原文は、長めの論文ですが、ワーキングメモリトレーニングの昨今の話題に関心のある方は、詳細をチェックしてみてください。
無料で全文が読める論文かつ、翻訳機能で大体の意味が把握できる論文ではありますが、情報過多の時代ですので、「時間」と「読む意欲」がないと、世界の方の知恵を吸収できない時代になっていますね・・・

 




 

 

【プリント編】子供向けワーキングメモリトレーニング課題

 

 

興味の持ちやすい題材を扱ったプリント課題の場合には、何回かは… プリントをやってくれるかもしれません。
その子にとって、あまりにも難しい、または集中力が必要な課題の場合には、次回以降、嫌がってやってくれなくなる可能性も考えられます。
プリント課題を実施中の反応を見ながら、課題の難易度などを調整する必要はありそうです。

 

 

【視覚性ワーキングメモリ】シークワーズ課題(単語・文字・言葉・数字探し)

 

【ひらがな編】子供向けシークワーズ - 単語・言葉探し(カテゴリー:ドラえもん・3単語)表5行×5列 - リハプリント療育 by PT・OT・STニュース.blog

 

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・視空間スケッチパッド(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)
など

・ひらがな(平仮名)
・カタカナ(片仮名)
・数字

などの文字探し・数字探しのバージョンの課題を作成しておきました。

 

子供向けのシークワーズ課題のダウンロードページ

【表:5×5版】・難易度:簡単
【表:5×5版】子供向けシークワーズ(単語・文字・言葉・数字探し)課題のダウンロードページへ

【表:8×8版】・難易度:難しい
【表:8×8版】子供向けシークワーズ(単語・文字・言葉・数字探し)課題のダウンロードページへ

 

 

【視覚性ワーキングメモリ】メンタルローテーション課題(心的回転課題)

 

【子供向けメンタルローテーション課題】(心的回転課題)ターゲット:恐竜 - ティラノサウルス(3頭版)- リハプリント療育

 

目的:
・中央実行系(注意の配分・モダリティ変換など)
・視空間スケッチパッド(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)
・エピソードバッファ(動画的なメモ:音声・視空間などの複数のモダリティを時系列に沿って記憶など)

 

子供向けのメンタルローテーション課題(心的回転課題)のダウンロードページ
【子供向け】メンタルローテーション課題のダウンロードページへ

 

 

【視覚性ワーキングメモリ】仮名拾い(かなひろい)課題

 

【子供向け】平仮名(ひらがな)版の仮名拾い(かなひろい)課題プリント その3:ちびまる子ちゃん - リハプリント療育 - 発達支援のための知育学習教材・素材集

 

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・視空間スケッチパッド(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)

 

子供向けの仮名拾い(かなひろい)課題のダウンロードページ

【ひらがな版】
【子供向け】ひらがな版:仮名拾い(かなひろい)課題プリントのダウンロードページへ – リハプリント療育

【カタカナ版】
【子供向け】カタカナ版:仮名拾い(かなひろい)課題プリントのダウンロードページへ – リハプリント療育

 

 

【遊び編】子供向けワーキングメモリトレーニング課題

 

 

ワーキングメモリトレーニングは、プリントで行う場合には、回数を重ねるごとに子供達が嫌になってきて受け入れが悪くある可能性も考えられます。
そのため、遊びを介してワーキングメモリを使えると楽しく継続しやすいのではないかと思います。

 

 

【遊びで鍛える】聴覚性ワーキングメモリ

 

 

【遊びの例】

①しりとり

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・音韻ループ(音のメモ:音声言語的な短期記憶など)

コメント:
言葉が話せる子の場合には、比較的簡単に導入できる遊びではないかと思います。

 

②カルタ

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・音韻ループ(音のメモ:音声言語的な短期記憶など)

コメント:
平仮名が読める子であれば、楽しくできる遊びではないかと思います。
特定のカルタの場所を覚えておく場合には、「視空間スケッチパッド」(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)も使うのではないかと思われます。

 

③連想しりとり(例:マジカルバナナ)

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・音韻ループ(音のメモ:音声言語的な短期記憶など)

コメント:
手を叩いて四拍子のリズムに乗って、前の人が言った言葉から連想する言葉を答えていくしりとりです。
例としては、「マジカルバナナ」があります。

Aさん:「 マジカルバナナ♪ “バナナ" と言ったら “黄色"
Bさん:「 “黄色" と言ったら “タンポポ"
Aさん:「 “タンポポ" と言ったら “花"

難易度は高いですが、言葉が話せて、比較的認知機能が高い子の場合には、緊張感を持って楽しくできる遊びではないかと思います。

 

 

【遊びで鍛える】視覚性ワーキングメモリ

 

 

【遊びの例】

②絵双六(えすごろく)

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・視空間スケッチパッド(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)

コメント:
サイコロのドットを数えることができる子の場合には、楽しくできる遊びではないかと思います。
ドットを数えるのが苦手な場合には、数字が描かれているサイコロを使うといいかもしれません。

 

③トランプ(神経衰弱)

目的:
・中央実行系(注意の配分など)
・視空間スケッチパッド(画像のメモ:視覚・空間的な短期記憶など)

コメント:
難易度は高いですが、明らかな視覚性の記憶の低下がない数字を読める子であれば、緊張感を持ってできる遊びではないかと思います。
視覚的な記憶が明らかに低下している子の場合には、自尊心を下げてしまう可能性もあるので注意が必要かもしれません。

 

 

以上、子供向けのワーキングメモリトレーニング課題の情報です。

 

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